午前中に髪を切り、その足で 〔グラン・トリノ〕 を観に行く。
映画開始まで時間があったので、先に昼飯。
無性に韓国料理が食べたくて、そんな店を探すが、全く見当たらない。意地になって散々歩き回り、街はずれにようやく一軒、屋台風の小さな韓国料理屋を見つけた。
タコチャンジャを肴に、冷えたビールを飲み干し、熱々の石焼ビビンバを頬張る。言うことなし。
*
シンプルな物語ゆえに、深読みをしようと思えばいくらでもできると思うが、それよりもなによりもまず、俳優としてのクリント・イーストウッドが素晴らしかった。
悲しみを背負い、優しさを秘めた、タフで気骨溢れる時代遅れの男。そんな彼の “心意気” が、世代を超え、人種の壁を越えて、受け継がれてゆく。
泣ける演出など一切していないのに、ラストは泣けて泣けてしょうがなかった。アメリカの “今” を見据えた厳しい映画でありながら、その何倍も優しい映画であったからだ。
映画史にその名を刻む、名作と言っていいと思う。