朝一番で渋谷に出て、シネマライズで 〔フローズン・リバー〕 を観る。
夫に蒸発され、二人の子供を抱えて途方に暮れるシングルマザーが、ふとしたきっかけから、カナダからの不法移民をアメリカに密入国させるという、危険な仕事に手を染めてゆく。
彼女の動機は、「金持ちになりたい」「いい暮らしがしたい」 というような浮ついたものではない。脚本も手がけたコートニー・ハント監督のリアルな演出は、その日その日を何とかしのいでゆくだけの金を稼ぐために、やむを得ず犯罪に手を染めてゆく貧困層という、“格差社会・アメリカ” の現実を、冷静に見据えている。
舞台は凍てついた川と雪に閉ざされた辺境の小さな町。画面にはいつも低い雲が垂れこめ、人々の表情は鬱々として暗く、物語も、決してハッピーエンドというわけでははない。にもかかわらず、それほど後味が悪くないのは、女性監督ならではの 〔母性〕 が画面の其処此処に感じられるから。
あまり名前を聞いたことのない、メリッサ・レオ、ミスティ・アップハムという、二人の主演女優が、そんな監督の意図をうまく体現し、とても良かった。
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日差しはあるものの、風が強く、冷たい。
首をすくめながら、昼飯をどこで食べようかと渋谷の町をウロウロしていたところ、いつも行列ができている 〔すずらん〕 が、今日に限って空いていたので、入ってみる。初めてなので、とりあえず、スタンダードな 〔味噌つけそば〕。ビールも飲みたかったのだが、店員さんが忙しそうで、なんとなく注文するタイミングを逸してしまった。
サッと食べて、サッと出てくると、店の前に行列が出来ている。こちらはちょうどいいタイミングだったようだ。
どこへも寄らずに真っすぐ帰宅し、掃除やら何やら、やるべき家事をやっつけてから、缶ビールを飲みつつ、この日記を書く。