今では間違いなく 「面白い」 と思いながらこの映画を観ているが、はじめから 「面白い」 と感じていたわけではなく、観るたびに、ゆっくりと、じわじわと、その魅力に侵されていったという方が正しい。
緩慢に流れる物語、悠然と漂う宇宙船、静かすぎる会話、謎の石板 〔モノリス〕 や、人工知能 〔HAL〕 のあまりにもシンプルな造形… 最初 「退屈」 だと感じていたそれらの描写こそが、じつは監督の非凡さであり、見所なのだと思えるようになってから、この映画は俄然、面白くなってきた。
普通、一度観て 「面白くない」 と感じたら、それっきりなのだが、それでもまた観てみたいと思わせてしまうところが、名作の、名作たる所以なのだろう。
1968年に公開された 〔2001年 宇宙の旅〕 は、タイトルこそ時代遅れになってしまったが、今日こうしてリバイバルされたものを観ても、まったく古さを感じさせない。
当時、これだけのものをつくり上げたスタンリー・キューブリックが、CG全盛のいま、もし生きていたら、どんな作品を撮ったことだろうと考えると、興味は尽きない。
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劇場は海老名だったのだが、ひと駅となりの厚木の街では、B級グルメのお祭り、〔B-1グランプリ〕 を開催中とのこと。せっかくなので、ちょっと足を延ばしてみようかと思ったけれど、その混雑ぶりを想像し、やめておく。
昼飯は 〔喰の道場〕 内にある 〔山川〕 で、寿司と、瓶ビール一本。
食べて、さて帰ろうと思ったところで、やっぱり気が変わった。厚木へ、行ってみる。
三か所に分かれた会場で、46の店が、「我こそはB級!」 と、競い合っている。
日盛りの中、行列に並ぶのが嫌で、結局、雰囲気だけ味わって、なにも食べずに帰ってきたのだが、今日と明日の二日間で、三十万人余とも言われている来場者が、厚木の街を右へ左へとうごめきつつ、なにがなにやら、モグモグと食べている様は、なかなか壮観であった。
帰って、晩飯は、冷蔵庫に残っていた挽肉と納豆を炒めて、ご飯にのせて食べる。
それこそ、簡単で安くて旨い、胡乱亭のB級グルメ。