昨日。三時過ぎになって、待ちに待った TOTO の修理担当者が来てくれた。
が、そこは胡乱亭、待ちわびていた素振りなどはおくびにも出さず、遅くなったことをしきりに詫びるその若い修理担当者に、「そんなに急いで直す必要もないんですけどね、あはは」 くらいの余裕をみせながら、トイレに案内し、状況を説明する。
「ボタンを押してもノズルが出てこないんですね? じゃあ、ちょっとやってみましょう」
そう言って彼がおもむろにボタンを押したその途端、出てこないはずのノズルが、
「なにか?」
と得意げな顔して出てくるではないか。何度ためしてみても、ノズルも水も、ちゃんと出る。僕が押してもちゃんと出る。
「あれ? いや、さっきまでは、あの… あれぇ~?」 と、しどろもどろに弁解をはじめたのだが、いかんことに、修理の人が来るまで 「ちょっと一杯…」 やっていたものだから、酔っぱらいがアワアワ言っているようになって、修理のお兄さんもその酒気を感じたのだろう、「しばらく様子を見てみて下さい」 と、苦笑いをして帰ってしまった。
釈然としない思いを抱えつつも、それでも、まあ、ちゃんと出るなら文句はない。そう思って、何気なくもう一度ボタンを押してみたところ…
出ない。
やっぱり出ない。
なぜ? どうして?
そんなにトイレの神様のご機嫌を損ねるようなことをした覚えはないのだが…
*
いま、僕はふたたび TOTO に連絡する勇気もなく、「そんなに急いで直す必要もないんですけどね、あはは」 と自分自身に言い聞かせつつ、ヤケ酒をあおっている。
肴は、
キャベツステーキのベーコン添え。キャベツ四分の一個をまるごと蒸し焼きにして、バターをのせて醤油をかけるだけ。これが旨い。よく冷した白ワインとともに。