神田織音 (かんだ おりね) さんは、東京に35人いる女流講談師のうちのひとり。
今年、目出度く真打昇進を果たしたが、震災と、九月には都内に唯一あった、講談専門の寄席 〔本牧亭〕 の閉館という、ふたつの “災難” に見舞われ、前途多難の門出ということになってしまった。
それでもこれは、講談の神さまからの叱咤激励なのだと思うことにして、がんばる、と、明るく前置きをしたあと、この季節の定番である、赤穂義士銘々伝より 〔赤垣源蔵 徳利の別れ〕 を、きりっ、と語ってくれた。
一席終えたあとは、「今年あった出来事は決して忘れちゃいけない。だから今夜は忘年会ではなく、東北の復興と、講談界の未来に希望を託すための “望年会” だ」 という、もっともらしい理屈をつけて、飲む。
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先月、学生時代からの友人 S 夫妻に、待望の第一子が誕生し、さっそく仲間内で 「出産祝いを贈ろう」 ということになったのだが、いらぬモノを贈っても仕方がないので、本人に 「何が欲しい?」 と単刀直入に聞いたところ、「ビデオカメラが欲しい」 とのたまうので、今日、新宿の家電量販店へ買いに行ってきた。
ところが。
携帯電話やデジタルカメラに比べ、ビデオカメラの売り場はかなり縮小されており、品数もなんだか少ない。何軒か回ってみたが、どの店舗も、同じような傾向である。
いまはスマートフォンなるものが出てきて、それなりにクオリティの高い動画が撮れる (らしい) から、わざわざビデオカメラを購入する人は、少なくなってきたのかもしれない。ちょっとしたカルチャーショックであった。
それでも、ちゃんと選んで、買って、送って、それから、廻る鮨をつまみながらちょっとだけ飲んで、帰ってくる。