胡乱亭は馬鹿じゃないので、よく風邪をひく。
まったく風邪をひかない馬鹿な時代もあったのだが、最近はどんどん利口になって、年に一度くらいのペースでひくようになった。いまも市販の薬で症状を抑えてはいるのだが、悪化もしない代わりに完治もせず、かれこれ二週間あまり、ぐずぐずと引きずっている。さっさと医者に行けばよいのだろうが、もう治るだろう、もう治るだろう、と思っているうちに時間が経ってしまい、ここまできたら 「もう、行くものか」 と、妙に意固地になってしまう。我ながら始末が悪い。
市販の薬だって安くない。薬局の棚の前で、いろいろと考える。
A という薬は、1,480円で27錠。
B という薬は、1,680円で30錠。
単価からすれば A の方が少しお得なのだが、それを言ったら1,380円で45錠入りの C というのもある。安いに越したことはないが、モノが薬だけに、あまり安すぎるのもどうかと思う。聞いたことのない製薬会社だし、どうなんだろうと思って手にとってよく見ると、この C という薬は朝昼晩に三錠ずつ服用と書いてある。なるほどそういう視点もあったかと、改めて見てみると、A は一日三回二錠ずつ、B は一日二回二錠ずつ、ということになっており、そうなると、B が買い得のような気がする。
まだ他にも、単価は高いがいかにも効きそうな1,280円12錠入りのものや、924円で18錠という値ごろ感のあるもの、定価は1,580円だが今だけ1,380円なんてのもあって、これらの中から、自分の病状とフトコロ具合に合ったものを選び出さなくてはならず、薬局に行くたびに、こういうムズカシイ問題を延々と考えているわけだから、胡乱亭はますますお利口になって、 ますます風邪をひき易くなるのだ。
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結局、アルコール消毒が一番、ということになる。
今日はこれから久しぶりに新宿まで出て、友人たちとモツ鍋で一杯やってくる。