以前、浦安に住んでいたことがある。当時は東京の会社に勤めており、終電やタクシーで帰宅するのがあたりまえの激務で、横浜の片田舎からでは通勤もままならないため、京葉線で十五分ほどの舞浜で、ひとり暮らしをしていたのだ。
新しくはないが、小ぎれいな部屋で、八畳一間に小さなキッチンがついて、風呂とトイレは分かれており、家賃がたしか、六万円だった。ディズニーランドの喧騒からはわずかに離れた、静かな、住みよい街で、ずっと腰を据えてもいいと思っていたのだが、転職を機に、そこも引き払うことになった。十七、八年ほど前の話である。
なんでいまさらそんな話を書いているのかというと…
ミセスが、朝っぱらから仲の良い友人たちと 「ディズニーシーに行ってくるねー」 と、ご機嫌で出かけてしまった。
おいてけぼりをくった胡乱亭、「俺はあの辺に住んでたこともあるんだぜ」 と、自慢にもならぬ昔話を持ち出して、懸命の “羨ましくなんかないもんね” アピール。
ええ、そうです。器の小さい男です。