眠い。顔を洗っても、コーヒーを飲んでも、尚、眠い。
昨夜、寝しなに、岩下尚史の 〔名妓の夜咄 (めいぎのよばなし)〕 という本を読む。
書店で、なんとなくそのタイトルと表紙の画に魅かれ、「これは、きっと面白いぞ…」 と直感して購入したのだが、果たして面白かった。
戦前から戦後にかけて、昭和の花柳界に身を置いていた、ある老妓からの聞き書き。
まだ江戸の残り香が漂っていた往年の新橋界隈を生きた 「ほんとうの芸者」 が語る、その風俗、芸事の世界にすっかり引き込まれ、つい夜更かしをしてしまった。
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眠いけれど、今日は映画の日なので、迷わず 〔エクスペンダブルズ3〕 を観に行く。
往年のアクションスターたちが、同窓会気分で楽しげに暴れまわっているだけの映画だが、「それのどこが悪い」 と言わんばかりの開き直った能天気さが、いっそ清々しい。
ま、このメンバーで 〔文芸作品〕 ってのもちょっとアレだし、作る側もそんなことは百も承知で “踊るアホウ” を演じているのだから、こちらも “観るアホウ” に徹して楽しんでしまう。
一流なんだか三流なんだかよく判らない出来ばえではあるけれど、そうかといって、決して満足度が低いわけではない。要するに 『コンビニのスイーツ』 のような映画だということ。
久しぶりの映画館で、大迫力のドンパチを心ゆくまで堪能し、さすがに目も覚めた。