長らく観たい観たいと思っていて、ずっと観る機会がなかった成瀬巳喜男監督の 〔浮雲〕 を、〔午前十時の映画祭〕 でようやく観ることができた。
日本の恋愛映画史上、屈指の名作と言われている。
期待が大きすぎる映画は、かえって 「こんなものか・・・」 と思うようなことも少なくないのだが、これは、観て納得した。
ダメな男と、どうしても縁を切ることのできないダメな女。たどりつく当てもなく、ただ風に流されて漂う浮雲のような生活の果てに、ハッピーエンドは、ない。
それがわかっていながら、浮気と言い訳を繰り返すだけの男を、なぜ女は追いかけるのかという問いに、脚本を書いた水木洋子は、「体の相性が良かったからに決まってるじゃない」 と、いともあっさりと応えたという。
これだけ鬱屈した物語でありながら、作品全体を包む妙な艶っぽさは、そんなところから来ているのかもしれない。大人の映画だ。
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昼。家の近所の中華屋に入り、野菜炒めで瓶ビールを一本飲んでから、チャーハンを食べる。
午後は、先週、ミセスの親戚の家から貰ってかえった里芋の皮を、延々と剥き続ける。里芋の皮剥きは、ほんとうに苦手だ。