先週。なんにも用事がないけれど、新幹線に乗って金沢に行ってきた。
出発の前日に風邪をひいてしまって、喉が痛みだし 「こりゃ、まずい」 と思ったが、〔崎陽軒〕 のシウマイ弁当で缶ビールを飲みながら車窓を眺めていたら、調子が戻ってきた。単純だね。
東京から約二時間半、午前十時に金沢に到着して、まずは近江町の市場から。
金沢市民の台所であり、観光名所でもあるが、平日だからか、それほど混んではいない。
まぐろの解体を見物していたら、削ぎたての中落ちをひと切れくれた。血の味が濃い。
加賀藩祖・前田利家と、その正室・お松の方を祀った尾山神社を詣でてから、昼飯。 せっかく金沢まで来たのだから、一度だけは贅沢をしたいと思って、〔大友楼〕 に予約を入れておいた。
老舗料亭の一室で、加賀伝統の会席料理を、静かに、ゆっくりと味わう。酒は 〔加賀太鼓〕。
妙立寺、にし茶屋街、長町の武家屋敷跡などの観光地を、てくてく歩いて巡る。
夕方。宿にチェックインをして、ひと風呂浴びてから三十分ほど眠り、ふたたび外出。すぐ近くの金沢城外濠公園で、ホタルが見られるという。
午後八時。公園の灯りが一斉に消えて、暗闇に目が慣れてくると、あっちにポツリ、こっちにポツリ。ふと見上げると、頭上にも儚げな光が、ふわりふわり、漂うように飛び交っている。
なんともいえない幻想的な空間で、カメラを構えてはみたが、うまく写らなかった。
さて、晩飯をどうするか決めていなかった。
宿の周辺でどこか適当に、と思っていたのだが、向かった方角が悪かったのか、思いのほか店が少ない。ウロウロとだいぶ歩きまわり、近江町市場のそばまで来て、ようやく開いているレストランを一軒みつけた。市場の野菜をふんだんに使ったサラダのプレートと、赤海老のパスタで、生ビールを一杯。
金沢の夜は早仕舞い。覚えておこう。
つづく。