早朝は入園が無料になると聞き、朝五時に起きて、兼六園に行く。
本来ならば大勢の人でにぎわうであろうこの観光名所も、いまの時間は人影もまばら。朝の冷気の中を、ゆっくり、じっくり、二時間ほど散策して、宿に戻る。
ああ、お腹がすいた。
朝食はバイキング。ごく一般的なメニューの他に、金沢おでん、車麩の玉子とじ、近江牛のコロッケ、いしる鍋など、土地の名物が並ぶ。小ぶりだが、のどぐろの炙りもあった。少しずついろいろつまみながら、瓶ビールを一本、朝から飲んじゃう。
午前中は、浅野川に沿って茶屋街をそぞろ歩き、ミセス念願の、金沢名物 (?) 金箔ソフトクリームを食べる。
ほんの数日前に、テレビのバラエティ番組で紹介されていた蕎麦屋の看板を見かけたので、きまぐれに 「行ってみようか」 と、長い坂を上りきったところにある、その小さな店の前に着くと、営業開始までまだ三十分ある。
どうしようかと悩んでいたら、偶然店の人が通りがかって、「どうぞどうぞ」 と、開店前にもかかわらず、快く招き入れてくれた。
感謝感謝で、鴨せいろと、ここでも一本、瓶ビール。
金沢という町は小ぢんまりとしており、観光名所が徒歩圏内にまとまっていて有り難いのだが、近ごろは、一日歩き詰めるとヘトヘトになってしまうので、一旦宿に戻り、すこし休んでから、金沢城へ行くことにする。
おっとその前に、晩飯をどうするか考えておかなくてはならない。
昨日のことがあるので、宿のフロントで 「どこか、いい店は・・・」 と聞いたら、主計町の 〔空海〕 という居酒屋を教えてくれた。ついでに予約も入れておいてもらって、心おきなく午後の散策へ。
陽が傾きかけると、心は早くも夜の居酒屋へ。予約の時間のだいぶ前に店の近くまで戻って、そわそわと、行ったり来たり。
紹介してもらった 〔空海〕 がまた、よかった。
居酒屋とはいえ茶屋街にある店だから、それなりのお値段がするのだろうなと覚悟をしていたのだが、ビールと日本酒、梅酒などを飲みながら、刺身の盛り合わせの他に、四、五品頼んで、二人で八千円ちょっと。じつにイイ店。
火照った頬に、浅野川を渡ってくる涼風が心地いい。ご機嫌で、帰る。
もうちょっとつづきます。