三連休を利用して、今年も、友人の経営するブドウ農園のお手伝いに行ってきた。
金曜日の深夜に車で家を出て、夜が明ける前に長野県東御 (とうみ) 市に入り、農園ちかくの 〔道の駅〕 で仮眠をとって、朝一番から畑仕事にかかる。
きれいな緑色をしているが、これはマスカットではなく、巨峰。これから数週間かけて熟していって、あの、濃い紫色の粒になるのだ。
これらの房に養分が行きわたるように、『二番花』 と呼ばれる無駄な花房を切り落としてゆくのが、今回の主な作業。
シロウトのやることゆえ、手際の悪いところはご勘弁願いつつ、せめて足を引っ張るようなことだけはしないよう、丁寧に、黙々と、手を動かす。
葉の陰に、鳥が巣をつくっていた。
そっと覗いてみると、いるいる、生まれたばかりのヒナが四羽。まだ目も開いていないようだ。
カメラを構えた僕の気配に反応したのだろうか、一斉に口を開いて、エサをねだり始めた。大きくあけたその口は意外と鮮やかな色をしていて、まるで巣の中に花が咲いたよう。かわいい。
一日働いたあとは、東御の町を一望できる丘の上の温泉施設で汗を流す。連休中ということもあって、観光客もたくさん来ている。
「女湯も混んでいた?」 と、ミセスに訊いてみたら、「うん。ジャガイモがいっぱい、みたいな感じだったよ」 とのこと。
ああ、それはたぶん “芋洗い” のことだね。
普段かかない汗をたくさんかいて、これで 「疲れていない」 と言ったら嘘になるけれど、その疲労感は、晩に飲む一杯の冷たいビールで、すべて帳消しになる。
二日半、お手伝いをして、ようやく作業に慣れてきたかなと思う頃に、帰る日を迎えることになる。
帰途、近くのラベンダー畑に立ち寄って、すこしだけ観光をしてから、連休でそれなりに渋滞している高速道路をとろとろと進み、九時過ぎに帰宅。その夜は、ぐっすりと眠る。