原題は 〔A DOG´S PURPOSE〕。直訳すると 『犬の目的』。ちょっと味気ないので、意訳する必要があったのだろう。 それで 〔僕のワンダフル・ライフ〕。
犬の映画だけに “ワン” ダフルとは、なかなかストレートなダジャレをぶち込んできたものである。作品のイメージがちょっと安っぽくなってしまったような気がするが、ちゃんとした、いい映画だ。
ちなみに、原作小説の邦題は 〔野良犬トビーの愛すべき転生〕。
飼い主のことが大好きだった犬が、来世もまた同じ飼い主に会いたいと願って、何度も生まれ変わる。何度も何度も生まれ変わって、ようやく、また同じ飼い主に巡り合う。まるで童話を読んでいるかのような、けなげで、微笑ましい物語。
ただし、また会えてよかったね、だけでは終わらない。最後に、ひと捻りある。そこに至ってようやく 〔犬の目的〕 というタイトルの意味がわかってくる。
監督はラッセ・ハルストレム。過去にも 〔マイライフ・アズ・ア・ドッグ〕 や、忠犬ハチ公をハリウッドで映画化した 〔HACHI 約束の犬〕 などの作品を手掛けている。
だから犬にまつわる映画は “お手” のもの。なんちゃって。
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ミセスが、アイロンをかけつつ、テレビを見ながら、プリプリ怒っている。
何ごとかと思ったら、流れているニュース番組で、政治家連中が互いに誹謗中傷し合っている様子が、延々と映し出されていた。
人の悪口は、それを聞いている人をもイライラさせる。
「人の批判ばっかりしてないでさ、自分が何をしたいか訴えたらどうなのよ!」
憤懣やるかたないといった様子で、よほど力が入ったのだろう。いつもよりキレイにアイロンがかかっていた。