休みの間にもう一本映画をと思い、迷った挙句、有楽町で「迷子の警察音楽隊」を観たのだが、これが大当たり。僕は、こういう映画が大好きだ。
文化交流のためイスラエルに招かれたエジプト警察音楽隊の一行。空港に着いたものの、来ているはずの迎えが来ていない。仕方なく、彼らは自力で会場のある町を目指すが、タイトルにあるとおり、見知らぬ土地で迷子になってしまう。
辺境の小さな町で、食堂を経営する美しい女性に助けられ、とりあえず分散して地元の人たちの家に一泊させてもらうことになるのだが、そのたった一晩が、言葉も国境も越えた、暖かい交流を紡ぎだしてゆくことになる。
監督はエラン・コリリンという人で、これが長編デビュー作。役者陣も、はじめて見る人たちばかりだが、皆、いい顔をしている。主人公を演じたサッソン・ガーベイの、人生そのものを刻み込んだような額のシワなど、見ていてホレボレする。
音楽や小道具の使い方も粋なものだし、まるでヨーロッパ映画を観ているような、落ち着いた美しい映像も素敵だ。
正月映画のような華やかさはないが、しみじみと心地よく、ニュースの中でしか聞かない、遠いイスラエルという国が、とても身近に感じられるような、愛すべき作品。
とても良い気分で映画館を出て、ニューメルサの〔古川〕で、タンシチューと瓶ビールを一本。さらにイイ気分になる。
しばらく午後の銀座をぶらぶらして、ケルアック「オン・ザ・ロード」と、池澤夏樹「叡智の断片」という本を買って、帰る。
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夜は、昨日中華街で買ってきた〔有昌〕のチャーシューで一杯。一日中、良い気分。