朝五時にぱっちりと目が覚め、さっそく風呂。昨夜は内湯で済ませたのだが、今朝は露天へ。
広々としたその浴槽の目の前には、見事な大岩がそびえ立っている。長い歳月の間に崩れた岩肌もそのままに、じつにぶっきらぼうに、そこに鎮座しているのだが、これがなんとも趣のある、いい岩なのだ。
朝日を浴びたその岩の周りを、無数の岩ツバメが飛び交うのをぼんやりと眺めながら、やや熱めの湯にじっくりと浸かる。
昼日中と違って朝晩の風は涼しく、生き返るように心地いい。
快晴。朝飯をたっぷりと食べてから、栗駒山のハイキングに行く。お年寄りや子供たちがどんどん登ってゆくのを見て、正直、余裕だと思っていたのだが、やはり日頃の運動不足は否めない。三十分もすると、もう息が乱れ始める。
どうにかコース半ばの小さな湖まで辿り着き、休憩。風呂とビールが恋しい。
ここまで、それほど高低差があるわけではないが、前日降った雨のため、予想外の悪路であった。靴も装備もハイキング仕様ではない女性陣はここで引き返し、男どもだけで山頂を目指すことになった。本当は胡乱亭も一緒に 『勇気ある撤退』 をしたかったのだが…
照り付ける陽射しの中、ようやくたどり着いた山頂。風が吹き、みたこともないトンボの大群が飛び交っていた。
宿であつらえてもらった弁当を食べ、しばし眺望を堪能して、下山。
帰って飲み干した冷たいビールの旨かったこと! 熱い風呂の心地よかったこと!
夜。晩飯のあとは、部屋で飲みながら、おしゃべり。
それほど騒いでいるつもりもなかったのだが、つい調子に乗ってワイワイ喋っていたら、宿の人から 「お静かに…」 と注意されてしまった。学生じゃあるまいし、四十近くにもなって、ああ、情けない。
ほどほどで切り上げて、就寝。朝までぐっすり。
*
三日目。露天に浸かり、朝飯を食べ、少し宿の周りを散歩などして、チェックアウト。電車で帰る女性陣とは、「次は高尾山へ登りましょう」 と、すっかりハイキングづいた約束をして、ここでお別れ。
さて、これから帰路につくわけだが、どうせ渋滞に巻き込まれなくっちゃならないし、半ばヤケ気味で、最後にちょっと贅沢をしようと、小形牧場直営の 〔味心〕 に寄り、美味しい前沢牛に舌鼓をうち、英気を養う。もちろん全員、ノンアルコールビール。
行きはよいよい、帰りは…
想定内の渋滞に巻き込まれつつ、深夜十二時過ぎに、帰宅。