のんびりとした結構な正月ではあったけれど、あちこちに顔を出しては酔っぱらっているうち、休みも、あっという間に最後の一日になってしまった。
写真は、昨日の夜の浅草。知人宅で飲んだ、その帰り途、「せっかくだから…」 と、電車を降りて、酔い覚ましがてら、ぶらぶら歩いてみる。
まだ少し人出はあったけれど、昼間の混雑に比べたら、なんてことはない。
酔っぱらいがひとり、雷門の前で倒れていた。まるで落語の 〔
粗忽長屋〕 のようで、ちょっと可笑しかった。
「おゥ、おめえはなァ、夕べなァ、浅草でもって死んでるよゥ」
「おれがかァ?…だって兄貴、おれァ死んだような心持ちはしねえぞ」
「それがおめえは図々しいてんだよ。夕べどこを歩いてきた?」
「五合も飲んだかなァ。いい心持ちでぶらぶら歩きながら、観音さまの脇を抜けたまでは覚えてンでえ。それから先、どうやって家まで帰って来たもんかなァ」
「そゥれ、みやがれ。おめえ悪い酒ェ飲んで、あたっちゃたんだよ。観音さまの脇まで来て、もうたまらなくなって、引っくりけえって冷たくなっちゃって、死んだのも気がつかねえで帰ってきちゃったろう?」
「…そうか」
「そうだよゥ」
「そう言われてみると、どうも今朝、心持ちがよくねえ」
(麻生芳伸 編 〔落語百選〕 より抜粋)
昨夜の熊さんは、しばらく見ていたら、ゆらゆらと立ちあがって、何処かへ行っちゃった。どうやら、行き倒れにならずに済んだようだ。
*
さて、と…
今日は掃除をして、洗濯をして、アイロンをかけて、買い物に行って、いつもの休日を、いつもどおりに過ごす。正月気分は、もうおしまい。嗚呼。