朝一番で、川崎まで納品に行く。
仕事と言っても、モノを納めてしまえばそれでおしまいなので、あとは横浜へ戻り、映画を観て帰ることにする。
朝飯がまだだったので、〔イノダ〕 で、コーヒーとサンドイッチを食べてから、劇場へ。
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第二次世界大戦中、海兵隊員として従軍し、精神を病んでしまった男が、終戦後、とある新興宗教団体の教祖と出会う。男は教祖に心酔するが、教祖もまた、男の強烈な個性に少なからぬ影響を受け、やがて二人は、宗教上の教祖と信者という関係以上の、不可思議な絆で結ばれてゆくことになる。
難しい話ではないが、難しいテーマではある。
ポール・トーマス・アンダーソン監督、五年ぶりの新作は、宗教と、酒と、性を描き、それを超えたところにある、“救い” を描く。
重厚な映像と、主演の二人 (ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマン) の毒気を含んだ芝居が素晴らしく、常に何かが起こりそうな緊張感を孕んだ画面に見入ってしまい、138分があっという間であった。
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映画のあと、ミセスと合流し、元町ですこし買い物をする。
曇り空で、花冷えのする一日だったが、夕方になり、風がますます冷たくなってきたので、十四、五年ぶりに 〔石川屋〕 の暖簾をくぐり、あたたかいおでんで一杯やって、帰ってくる。