トム・クルーズの作品にしては、ちと地味な印象だったので、当初、観るつもりではなかったのだが、昨夜、仕事が早く終わったので、ふらっと映画館へ立ち寄ったところ、上映開始のタイミングがちょうどよかったのが、この 〔オブリビオン〕 だった。
過去のSF映画のエッセンスを随所に織り込みつつ、ほどよく捻りを効かせた脚本は、大スターなど出演していなくても十分楽しめる水準の出来ばえなのだが、さらに、トム・クルーズを主演に据えたことで、スター映画らしいスケール感が加わった。どのシーンも、たっぷりとカネと手間をかけて、洗練された画づくりが為されており、それを眺めているだけでも、まったく飽きない。
本格的なSFには欠かせない、ミステリアスな雰囲気が全編にわたって濃密に漂い、逆に、この手の作品にありがちな派手なアクションシーンは、もちろんあるにはあるけれど、わりと控えめになっている。そのあたりが、僕が最初に 「地味かな…」 と感じたところなのだが、ここは、見た目が華やかなだけの単なるスター映画にしなかった、監督 (ジョセフ・コシンスキー) の節度を称えるべきだろう。
総じて、監督の匙加減のよさが感じられ、“トム・クルーズの新作” ということ以上に、久しぶりにSFらしいSFを観たような気がして、満足した。
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毎年、六月の第二土曜日は、会社の創立記念ということで半日だけ出社することになっており、午前中、雑務や会議をしたあとで、簡単な昼食会がある。今日は会社の近くの、肉屋の焼肉。
会社のおごりで、昼間から大いに食べ、且つ、飲み、酔っぱらって帰ってくる。