なんの用事もないのに、五時半に目が覚めてしまう。二度寝があまりできない習性なので、一度目が覚めると、そのまま起きてしまうことが多い。
それでなにをするのかというと、たまっていたアイロンがけ、台所のシンクや洗面台磨き、トイレ掃除など、けっこう真面目に働く。早朝なので、あまりガチャガチャできないけれど、その日やらなくてはいけない家事を、ここでひとつでもふたつでも片づけておくと、あとで時間に余裕ができる。
ひととおり終えたところで、朝飯。昨夜食べた肉豆腐の残りの出汁に、うどんを入れて、あたためたもの。
ミセスは風邪気味で、一旦起きてきたのだが、またすぐに寝室に戻ってしまう。
アイスコーヒーを飲みながらしばらくぼんやりして、それから、風呂掃除。
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歯医者通いが長引いている。
平日は仕事があるから、行かれるのが土曜日しかなく、しかしそれは他の患者もおなじこと。だから土曜日はいつもいっぱいで、一ヶ月に一回、予約がとれるかどうかというペースなのだ。
最初に欠けてしまった歯の治療はとっくに終わっていて、いまは治療中に見つかった別の虫歯にとりかかっているらしい。らしい、というのは、その歯はべつに、痛くも痒くもないので、自分ではよくわからない。
よくわからないけれど、先生がそう言っているのだから、もう、まかせてある。
会計のとき、「次回の予約は…」 と身構えていたら、あっさり 「今日でおしまい」 と告げられ、一瞬拍子抜けしたものの、じつに晴れやかな気分で帰宅する。
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あとは夜まですることはない。
通勤電車の中で読んでいた 〔赦す人 -団鬼六伝-〕 が、いよいよ終盤にさしかかっていたので、読みあげてしまう。
この本の中で著者 (大崎善生) は、
『その作品群だけでなく自らの生きざまを通じて、鬼六はこの世に団鬼六という作品を遺したかったのだろうと思う。』
と書き、ことさらこの不世出のエロ作家の知られざる “真実の姿” を暴きたてるようなことはせず、鬼六自身による “面白おかしく脚色された人生” をそのまま肯定するように、描く。だからこの評伝は、読みものとしても抜群に面白い。
久しぶりに鬼六の作品も読みたくなって、Amazon で 〔真剣師 小池重明〕 と 〔不貞の季節〕 を注文する。
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さて、まだ明るいけれど、晩酌を始めよう。
今夜は、餃子とビール。
水気を切ってくずした豆腐、水菜、しらすを和えて、とろろをたっぷりとかけたサラダ。
さっと茹がいたニラを、醤油をたらした生玉子にからめながら、食べる。