会社を定年退職したのち、妻にも先立たれ、独り身の生活を持て余している主人公 (ロバート・デ・ニーロ) は、老後の生きがいを求めて一念発起、インターネット通信販売の会社の求人に応募し、アン・ハサウェイ扮する若き女性社長の下で、シニア・インターン (研修生) として働くことになる。
一見、最先端の、自由で活気に満ち溢れた会社ではあったが、急成長の陰で、人とシステムが追いつかず、どこか汲々とした雰囲気が漂いはじめており、そんな中、パソコンを立ち上げるのがやっとというデ・ニーロが、社内の綻びを目ざとく見つけては、さりげなくフォローしているうち、「意外とやれるオジさん」 として、なくてはならない存在になってゆく。
彼女とケンカをして、仲直りするために何通もメールを送ったけれど機嫌を直してくれないと愚痴る若い同僚に、デ・ニーロはこうアドバイスをする。
「会って話せ」
豊富な人生経験に基づくその助言はじつにシンプルだが、複雑な社会を生きている若い世代には、そんな言葉が、かえって新鮮に聞こえるのだ。
全盛期のデ・ニーロの、あの “凄み” というのは無くなったけれど、酸いも甘いも心得た大人の男を、さらっと演じて、嫌味がない。
そのデ・ニーロと大人の恋をする役で、レネ・ルッソの姿を久しぶりにスクリーンに観た。
かつて 〔リーサル・ウェポン〕 シリーズで、メル・ギブソンと共に悪党どもをなぎ倒していた彼女が、容姿といい、雰囲気といい、とてもよい歳のとり方をしていて、それもなんだか好もしかった。
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映画のあと。昼飯どきを過ぎていたのでタカをくくっていたのだが、劇場近辺のレストランはどこも満席。仕方なく、デパートの食品売り場のイートインコーナーで親子丼を食べてから、数日前にオープンしたばかりのショッピングモールをぶらついてみる。
ここでミセスが、枕を購入した。いろいろ測って、自分専用に高さを調整してもらうもので、けっこういい値段がする。
近ごろ、寝起きの際の肩こりや頭痛に悩まされていたので、いつか自分用の枕を作りたいと言ってはいたのだが、まさか今日ここで買うことになるとは思わなかった。
寝心地を聞いて、もし良さそうなら、自分もひとつ購入してみようかという気に、今、なってきている。