いまから四十五年ほど前、胡乱亭の父と母の新婚旅行先が、熊本だったそうだ。
その父はいま、病院のベッドの上で、この一連の地震報道を見ている。
微熱、食欲不振、ひどい倦怠感がひと月ちかく続いた。
医者嫌いな上に、歳をとって頑固にもなってきているようで、母がいくら勧めても、なかなか病院に行こうとしなかったのだが、症状が一向に改善せず、いくらなんでも 「これは、おかしい」 と、ようやく近所の個人医院で診てもらったところ、その場で大きな病院への紹介状を書かれ、その日のうちに入院ということになってしまった。
僕自身が 「歳をとったな・・・」 と感じる場面も多くなってきたけれど、ということは、親もそれだけ歳をとっていることになるわけで、喜寿を越え、そりゃ、どっかしら悪いところが出てきてもおかしくはないということも、頭では解っていたのだが、ついこの間の正月までは元気で、普段どおりに酒も酌み交わしていたので、このたびの急な入院については、ちょいと驚いた。
ただ、検査してもらったことによって病名が判明し、すぐに命に関わるような大病ではなく、適切な処置をすれば治るということも判ったので、その点については、まず、ひと安心。
熊本での地震とあわせ、なんとなく、気持ちがザワザワした週末であった。