同じ失敗を二度繰り返す夢をみる。
目が覚めて、夢だということがわかって、ホッとする。
六時前だったが、そのままベッドを出て、カーテンをあけると、いかにも夏らしい、真っ青な空。セミはすでに大合唱をはじめており、そこにときどき、山鳩や老鶯の鳴き声が重なる。
ベランダに出てみると、この時間の大気はまだ熱を孕んでおらず、澄んで、涼しい。
目を閉じていると、避暑地に来たような気分になる、清々しい朝だ。
ここは確かに横浜だけど、我が家の周りには田んぼや畑もまだまだ多く、みんなの知ってる “みなとみらい” とは、だいぶ様子が違う。
それでも暮らすには申し分なくて、例えば最近、近所に、いい店が出来た。
おもに魚料理を扱う小さな居酒屋で、金曜日の夜などに、かるく飲んで帰るのに、ちょうどいい。
刺身の盛り合わせと、他に肴を一、二品頼み、瓶ビールを一本飲んでから、酒を一合か二合。そのあとで、おにぎりをひとつ、あら汁を一杯。
それで、会計時に 「おそらく、これくらいだろうな・・・」 と想像していた金額を、いつも、ちょっと下回る。
この、ちょっと下回るというのが、うれしい。
もちろん、それはこっちの計算があやふやなだけで、お品書きには金額が書いてあるのだから、ちゃんと足し算すれば判ることではある。
けれど、足し算しながら酒なんか飲みたかァない。酔いにまかせてあれこれ頼んで、それで、勘定のときに 「お、安かったね」 というのが、いちばん気分がいい。
そういう店が近所にあって、昨夜もそこで一杯やって帰ってきて、ぐっすり眠って、明け方ちょっと変な夢は見たけれど、それですっきり目覚めたら、避暑地にいるような心地がして、よし、今日も一日、なにもしないぞ! という気分になる。