朝から雨で、蒸す。
ミセスは 「頭が痛い」 と言って、薬を飲んでまた寝てしまったし、まあ、今日は家でジッとしていることにしよう。
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オリンピックには、あまり興味がない。どちらかといえば、嫌い。でも、日本人選手の結果が良ければ、それは嬉しい。俗に言う 「ツンデレ」 というやつ。違うか。
自分から進んでテレビをつけて競技を見ることはないけれど、ダイジェストくらいは見る。見れば 「面白いな」 と思う競技もある。砲丸投げとか、高飛び込みとか。
「ヘンなの」 と思う競技もある。競歩とか。シンクロナイズドスイミングも。「なんでこんなことやってるんだろう」 って思っちゃう。
そのシンクロが、銅メダルを獲得した。チームの一人が、
「毎日が地獄だった」
と、練習の日々を振り返っている。ネットニュースの記事に、そう書いてあった。
「毎日が地獄」 って、すごい言葉だ。
今回のメダルによって、彼女の地獄の日々は束の間、報われるのかもしれないが、これからまた2020年に向けて新たな地獄の日々が始まるかと思うと、人ごとながらゲンナリする。
僕がオリンピックを好きになれない理由は、ここにある。
なにもそこまでしなくてもと、痛々しい気持ちになってしまうのだ。
ま、選手たちからしたら余計な同情だろうし、そもそも僕がオリンピック好きかどうかなんて、それこそどうでもいい話だが。
うれしいうれしい金の涙。吉田沙保里の銀の涙。卓球愛ちゃんの銅の涙。アスリートたちの流す涙は、みんなきれいだ。
テレビの前で寝そべって一杯やりながらもらい泣きしている胡乱亭の、藻が浮いたプールのように濁った涙も、たちまち浄化されてゆくような心持ちがする。
“努力” という言葉を、燃えないゴミの日に捨ててきてしまった胡乱亭がいま為すべきことは、アスリートたちの爪の垢を煎じて、焼酎かなんかに入れて飲むこっちゃね。