箱根を越えて熱海の先、三島に 〔スカイウォーク〕 という日本一長い吊り橋があると聞いたので、ドライブがてら、早起きをして行ってみた。
東名高速の沼津インター経由で、ぴゅーっと二時間ちょっと。
近いとは思っていたけれど、思った以上に早く着きすぎた。朝のうちはまだ、昨日までの雨雲が残っていて、周辺は濃霧で真っ白。何も見えない。
天気予報によると午後には雲が取れるとのことなので、一旦撤退し、三島の街をしばらくぶらつくことにする。まずは三嶋大社から。
御朱印帳を忘れてきてしまったのが悔やまれる。
すこし早目の昼飯は、フンパツして 〔うな繁〕 で。
三島は鰻が名物で、街のいたる所に鰻屋があるのだが、どの店先にも、稚魚の不漁にともなう仕入れ価格の高騰により、やむなく 「値上げさせてもらいます」 と、ことわりの張り紙がしてある。
鰻屋さんの商売のことを考えれば、それでも食べてあげた方がよいのだろうが、鰻のためを思うと、いくら美味しいからといって食べ尽くすまで食べてしまうのは、それはもちろんよくないことだ。
大いなる葛藤を抱えつつ、でも、目の前にお重が運ばれてくると、ね。
三島の街中には小さな川が流れており、整備された遊歩道があって、散策が出来るようになっている。
金沢もそうだったけれど、水の流れのある街は、なんとなく、好きだ。
流れている水もきれい。カワセミが何か狙っている。それを狙っているシロウト写真家が、水辺にずらりと並んでカメラを構えていた。僕もその中に混じって息をころし、どうにかその姿を捉えることが出来た。 ようやく陽が射してきた。あ、そうだ、吊り橋を渡りに来たんだった。
来た道を戻ってくると、霧は晴れ、長大な橋がその全貌をあらわしていた。
全長400メートル。人が渡るための吊り橋としては、日本一の長さとのこと。橋の上からは、三島の街も一望できる。晴れていれば目の前に富士山も見えるそうなのだが、今日は残念ながら、そこまでの快晴とはならなかった。いや、でも、朝のあの真っ白けよりはいい。橋は基本的に渡るものではなくて、遠くから眺めるものだと思っていたが、ここは渡って楽しい橋だった。堪能した。
無事に目的を果たしたので、帰る。箱根新道から小田原厚木道路を経由して東名で、ぴゅーっと二時間もかからず、六時前には家に着く。充実の、日帰り旅行だった。