タイトルが 〔クリード〕 となって、主役の座から退いたとはいえ、ロッキーの存在なくしては成り立たない物語であるのだから、これはやはり 〔ロッキー〕 シリーズと呼びたい。
誰がなんと言おうと僕はこのシリーズが好きなので、新作が公開されると聞けば、いの一番に劇場に駆けつけてしまう。
かつてロッキーと死闘を繰り広げた宿敵たちの、その息子どうしが成長してボクサーとなり、拳を交える。 老いたロッキーはトレーナーとしてリングの外からその試合を見守ることになるのだが、旧作の映像を織り交ぜつつ、さらにはあの 〔ロッキーのテーマ〕 までも高鳴らせ、古いファンをも楽しませてくれる。
安直と言えばこれほど安直なストーリーもないのだが、長い年月をかけて培われたロッキーという人物像がそれなりの厚みとなって物語にリアリティと感動をもたらし、胡乱亭、2019年初泣きの映画となった。
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身も心も熱くなって劇場を出たのだが、外は、寒い。尋常な寒さではなく、悪寒すら覚えるほど。
・・・ん、悪寒?
家に帰って熱を測ってみてびっくり、三十八度を超えているではないか。こりゃインフルエンザにでもかかっちまったかと思い、すぐに近所の医者に駆け込み検査をしてもらう。
幸いインフルエンザではなく、ただの風邪薬を処方してもらって帰ってきたのだが、インフルエンザではないと判った途端、スーッと身体が楽になってゆくような気がするのだから、現金なものだ。
とはいえ、さすがに酒はやめておく。熱い粥を食べて、今日はもう、寝る。