朝晩の通勤電車の中で読む文庫本の文字が、だいぶ読みづらくなってきた。ああ、これが老眼ってやつかと思いながら、揺れる車内で小さな文字を追っかけてきたのだが、そろそろ限界。これじゃ読書そのものが愉しくない。
と思って、衝動的に 〔kindle〕 を買ってしまった。
記念すべきダウンロード一冊目は、池波正太郎の 〔銀座日記〕。
それから、阿佐田哲也 〔麻雀放浪記〕、武田百合子 〔富士日記〕、檀一雄 〔石川五右衛門〕など、次々に選んで購入してゆく。梨木香歩の 〔家守綺譚〕 や、百閒先生の 〔阿房列車〕 が kindle 化されていなかったのは残念。
あまりにも簡単にダウンロードできてしまうので、だんだん本を 「買っている」 という感覚がなくなってきて、気がつくと総額がお小遣いの範疇を超えてしまっていた。あぶないあぶない。タダじゃないんだから、ということを肝に銘じておかなくては。
でも、なんだか愉しい。
ケータイや、交通系ICカードや、電子マネーにしてもそうだけど、この手のIT機器は、手にするまでは 「フン、こんなもの・・・」 と思っていても、いざ使い始めると、あっという間に取り込まれてしまうものだ。実際、使い勝手は悪くない。
もう紙の本は不要・・・ とまでは言わぬが、下手をすると今後、本は “インテリア” として所有するだけのものとなってしまうのかもしれない。