先週のこと。
実家の母から電話があった。怪訝そうに 「あんた、なにか送った?」 と訊いてくるので、母の日だから、ちょっとした小物を送ったよと応えると、「あ、そう。ならいいんだけど・・・」 と安心した声になって 「じつは・・・」 と話し出したところによると、玄関をあけたら見知らぬ箱が置いてあって、名前も住所もウチになっているが、こんなものを頼んだ覚えもないし、なんだろう、気味が悪いけど、送り主が息子の名前になっているからとりあえず確認してみよう、と思って電話をかけたのだという。
このコロナ禍の中、プレゼントを買いにデパートまで赴くのもナンだし、実家に直接届けに行くのもアレなので、今回 〔amazon〕 で母の日ギフトの手配をしたのだが、どうやら、例の “置き配” にされてしまったようだ。事情を知らない年寄りからしたら、そりゃ、びっくりするだろう。“送り付け詐欺” かと疑うのも無理はない。
そこですかさずこっちに確認の電話をかけてきたのは、ま、八十を越えた年寄りにしてはナイスな判断だったとは思うが、贈り物ひとつするにも、妙なところで気を遣わねばならない世の中になってしまった。
いえ、“置き配” に文句を言っているわけではありません。そういうことがあったよ、という笑い話です。
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長野県に住む友人から、名産のくるみが届いたので、さっそく “くるみ蕎麦” をつくってみようと思う。
以前、信州上田の 〔草笛〕 という蕎麦屋で食べたときの、その味の記憶を頼りに自作するのだが、硬い殻を割って実を取り出し、かるく炒って渋皮をむき、酒と砂糖、みりん、味噌などを加えて擂鉢でペースト状になるまでよく擂る。このくるみペーストをそばつゆに溶き、蕎麦をつけて食べるのだが、そのまろやかなコクとほのかな甘さが、ダシのきいたそばつゆと意外なほどよく合う。
もり、かけ、天ぷら、鴨、カレーなど、世に蕎麦の喰い方は数あれど、じつはこの “くるみ蕎麦” こそナンバーワンだと、個人的には思っている。
ちょいと手間はかかるが、どうせ家に居てすることもないのなら、こうして日がな一日をのんびりくるみ割りに費やしてみるのも、わるくない。