久しぶりに実家に顔を出す。無口な父も、よく喋る母も、健在。
ささやかなおせちをつまみながら、昼間からちびちびと酒を飲み、何をするでもなく、ぼんやりと駅伝などを観て過ごす。
少し酔ってきたので、ぶらっと近所の散歩に出た。
僕は、ヨコハマ生まれのヨコハマ育ち、偽装なし、生粋のハマっ子なのだが、ヒトに言ってもなかなか信じてもらえない。その理由は、この風景にある。
「ヨコハマのチベット」と呼ばれる所以だが、まぎれもなく平成20年のヨコハマ。
そう、ここは、泉区。
十年一日に変わらないようでいて、それでも、少しずつ変わってゆくものもある。
2002年に閉園した横浜ドリームランドの跡地には、横浜薬科大学と、きれいな公園墓地が出来た。まあ、正確に言うと、この辺りは戸塚区なんですが…
変わらないものもある。
ドリームランド裏の春日神社。れっきとした、奈良春日大社の分祀。鹿もいます。
駄菓子屋「バンビ」。小学生の頃は、五百円玉ひとつで一日遊べた。
そんなのどかな田舎町にも、それなりに危険は潜んでいる…らしい。
母校。下和泉小学校と、泉が丘中学校。
夕日を浴びて佇む校舎を眺めていたら、なんだか泣けてきた。
通学路の風景も、全く変わっていない。
畑と雑木林ばかりの泉区で、唯一の近代的建造物、「相鉄線・ゆめが丘駅」。
ヨコハマ最果ての駅なれど、侮るなかれ。ホームから眺める富士の姿は、絶景哉。
何もない場所だけど、ここにしか咲かない花がある…
そんな町です。
ほんの数年前まで住んでいた場所なのに、今日はなんだかやけに懐かしく、えらくセンチメランコリックな気分になった。
きっと、酔っぱらっていたからだろう。