雨の中、横浜へ出て 「ぐるりのこと」 を観る。
初めての子供を亡くしたショックから、徐々にうつになってゆくキャリアウーマンの妻と、それをただ見守ることしかできない法廷画家の夫。そんな二人の喪失と再生の行方を、90年代に実際に起こった社会的事件 (宮崎勤、オウム、小学校児童殺傷 etc) の裁判風景を絡めて描いてゆく。
昨日のハンバーガーではないが、夫婦役の木村多江とリリー・フランキーが “絶品” の演技を披露し、脇役陣も、ベテラン・個性派を取り揃え、いずれも味のある芝居をみせてくれる。
橋口亮輔監督は、夫婦の絆、などと大げさに構えることなく、日常の何気ない会話を丁寧につないでゆくことで、人と人の間にある 『かたちのない、何か大切なもの』 を、フィルムに焼きつけた。
久しぶりの邦画だったが、何だか、いろいろと身につまされて、泣ける映画でした。